領域別 ・ 内分泌

NCLEXの低血糖・高血糖は「冷たいか、熱いか」で見分ける

血糖の問題は、NCLEXで最も多く出る領域のひとつです。そして日本の臨床で毎日見ているのに、英語だと取りこぼす典型でもあります。低血糖と高血糖、どちらの症状かを英語の単語だけで振り分けられるか——問われているのはほぼそこです。この記事では、その仕分けの線を1本引いてから、実際にNCLEX BANKに収録している問題を3問解きます。英語の用語にはすべて日本語をつけます。

この記事の使い方 心不全の記事と同じ読み方です。病態生理を思い出す前に、まず単語を2つの箱に振り分ける——それで正解できる問題が、血糖では大半を占めます。

1. 皮膚を触れば、どっちかわかる

低血糖と高血糖の症状を別々に暗記すると、20個以上あって混ざります。でも、体で何が起きているかを1行で言うと、こうなります。

この記事の結論 低血糖=体が警報を鳴らしている。→ 冷たく、湿る。
エピネフリンが出て、末梢が締まり、汗が出る。ふるえ・動悸・不安・空腹。

高血糖=体から水が抜けている。→ 熱く、乾く。
糖が尿に引っぱられて多尿になり、脱水する。口渇・多尿・紅潮。

あとは選択肢の単語を、「冷たく湿った箱」か「熱く乾いた箱」かに入れるだけです。

低血糖=冷たく湿る高血糖=熱く乾く
英語の所見 cool, clammy skin(冷たく湿った皮膚)
diaphoresis(発汗)
tremor(振戦)
palpitations(動悸)
hunger(空腹感)
warm, flushed skin(温かく紅潮した皮膚)
polyuria(多尿)
polydipsia(口渇・多飲)
dry mucous membranes(粘膜の乾燥)
ひとことで 震えて汗をかく 渇いて何度もトイレ
進行すると変わる 上の低血糖の症状は早期の「警告症状」autonomic symptoms(自律神経症状))です。血糖がさらに下がると、脳が糖不足になってconfusion(錯乱)seizure(痙攣)といったneuroglycopenic symptoms(神経糖欠乏症状)に移ります。「早期」と書かれていたら、汗と震えのほうを選びます。

2. 例題① 低血糖の症状に、高血糖が混ぜてある

例題 1 ・ SATA(すべて選べ)
問題文

The nurse is teaching a client with type 1 diabetes mellitus how to recognize hypoglycemia. Which signs and symptoms should the nurse include? Select all that apply.

1型糖尿病の患者に、低血糖の見分け方を指導している看護師。指導に含めるべき徴候と症状はどれか。あてはまるものをすべて選べ。

選択肢
  1. Shakiness and tremorsふるえ・振戦
  2. Cool, clammy, sweaty skin冷たく湿った、発汗のある皮膚
  3. Warm, flushed skin温かく紅潮した皮膚
  4. Sudden, intense hunger突然の強い空腹感
  5. Increased urination and thirst尿量の増加と口渇
  6. Palpitations and anxiety動悸と不安

正解:1・2・4・6
正解の4つは、全部「冷たく湿った箱」です。エピネフリンが出て交感神経が働くと、震え・発汗・動悸・不安・空腹が同時に来ます。バラバラの症状ではなく、ひとつの反応の別々の顔だと思ってください。

消すべきは3と5。warm, flushed skin(温かく紅潮した皮膚)increased urination and thirst(多尿と口渇)——どちらも「熱く乾いた箱」=高血糖です。

ここがポイント:この問題、低血糖の症状を1つも暗記していなくても解けます。「冷たい/熱い」「湿る/乾く」で6つを2つの箱に投げ分けて、問題文が聞いている側の箱を丸ごと出す。それだけです。

出典:NCLEX BANK / 成人看護 🦋 Endocrine #1 Q7

3. 例題② 「3つが同じ方向、1つだけ逆」を探す

次は症状ではなくリスクの問題です。ここでは連載第3回で扱った消去法——類似選択肢はまとめて消せる——がそのまま効きます。

例題 2 ・ 四択
問題文

The nurse is caring for several clients with type 1 diabetes mellitus. Which client is at greatest risk for developing hypoglycemia?

1型糖尿病の患者を複数受け持っている看護師。低血糖を起こすリスクが最も高いのはどの患者か。

選択肢
  1. A client training for a marathon who took the usual morning insulin doseマラソンの練習をしていて、朝のインスリンをいつも通り打った患者
  2. A client admitted with pneumonia and a fever of 39 °C (102.2 °F)肺炎で入院中、体温39℃の患者
  3. A client receiving high-dose glucocorticoids after a kidney transplant腎移植後に高用量の糖質コルチコイドを投与されている患者
  4. A client with an infected foot ulcer and chills足潰瘍に感染を起こし、悪寒のある患者

正解:1
血糖を上げる下げるかだけで並べ替えます。

2の発熱・4の感染は stress response(ストレス反応)で血糖を上げます。3の glucocorticoids(糖質コルチコイド)は肝糖新生とインスリン抵抗性を高めるので、これも上げます。3つとも同じ方向です。

1だけが逆。運動は筋肉が糖を消費するので血糖を下げます。しかもインスリンをいつも通り打っている——減らしていない。ここが効いています。

ここがポイント:「3つが同じ方向、1つだけ逆」という形に気づけば、個々の病態を思い出さなくても答えが立ちます。

ただし:感染症でも、食事が摂れない・敗血症・腎機能低下が重なれば低血糖は起こります。「感染=必ず高血糖」と丸暗記せず、この選択肢の中でどれが一番かを選ぶ問題だと捉えてください。

出典:NCLEX BANK / 成人看護 🦋 Endocrine #1 Q14

4. 例題③ DKAで最初にやるのは、インスリンではない

最後は順番の問題です。ほとんどの人が間違える形なので、ここだけは覚えて帰ってください。

例題 3 ・ 四択
問題文

A client arrives at the emergency department in diabetic ketoacidosis. Which action should the nurse take first?

糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)で救急外来に来た患者。看護師が最初にとるべき行動はどれか。

選択肢
  1. Draw blood for a serum ketone level血清ケトン値のために採血する
  2. Start an IV insulin infusionインスリンの持続静注を開始する
  3. Give IV sodium bicarbonate炭酸水素ナトリウムを静注する
  4. Administer an IV bolus of 0.9% sodium chloride0.9%生理食塩水を急速静注する

正解:4
「DKAといえばインスリン」で2を選びたくなります。でも違います。

DKAの患者は、高血糖による osmotic diuresis(浸透圧利尿)何リットルも水を失っています。まず失った血管内容量を戻して臓器の血流を回復させるのが先。0.9% sodium chloride(生理食塩水)などの等張液が最初です。

インスリンは必要ですが順番があとで、しかも条件つきです。インスリンはカリウムを細胞内に押し込むので、脱水状態のまま先に入れるとhypokalemia(低カリウム血症)で不整脈を起こしかねません。輸液を始め、カリウムが3.5 mEq/L以上あることを確認してから投与します。

1の採血は診断に必要ですが、輸液を遅らせる理由になりません。3の重炭酸はルーチンには使わず、pH 7.0未満の重度アシデミアで検討する薬です。

これが第4回のABCsです。C(Circulation)=循環の立て直しが、代謝の補正より先に来ます。

出典:NCLEX BANK / 成人看護 🦋 Endocrine #2 Q15

まとめ

血糖でやることは、3つだけです。

  1. 症状は皮膚で振り分ける — 冷たく湿るなら低血糖、熱く乾くなら高血糖
  2. リスクは「上げる/下げる」で並べる — 運動は下げる。感染・ステロイドは上げる
  3. DKAは水が先、インスリンは後 — カリウムを確認してから

覚える英単語は、両方合わせても15語ほどです。しかも clammypolyuriaflushed は、血糖以外の問題でも同じ意味で何度も出てきます。1回覚えれば、試験中ずっと効き続ける単語だと思ってください。

よくある質問

NCLEXで低血糖と高血糖はどう見分けますか?

皮膚の所見で振り分けるのが最も速い方法です。低血糖はエピネフリンが放出されて末梢が収縮し発汗するため、冷たく湿った皮膚(cool, clammy skin)に、ふるえ・動悸・不安・強い空腹感を伴います。高血糖は浸透圧利尿で脱水するため、温かく紅潮した皮膚に、多尿(polyuria)と口渇(polydipsia)を伴います。症状を個別に暗記するのではなく、「冷たく湿る」か「熱く乾く」かで2つに分けてください。

DKAの患者に最初に行うのはインスリン投与ですか?

いいえ。最初は0.9%生理食塩水などの等張液による輸液です。DKAでは浸透圧利尿によって大量の水分が失われており、まず血管内容量と臓器灌流を回復させます。インスリンは必要ですが、輸液を開始し、血清カリウムが3.5 mEq/L以上であることを確認してから投与します。インスリンはカリウムを細胞内へ移動させるため、先に投与すると低カリウム血症を招く危険があるからです。

低血糖のリスクが最も高い患者はどう判断しますか?

血糖を下げる要因と上げる要因に分けて比較します。運動はインスリンを減らしていなければ血糖を下げるため、リスクを高めます。一方、感染症や発熱はストレス反応により、糖質コルチコイドは肝糖新生とインスリン抵抗性により、いずれも血糖を上げます。ただし感染時でも食事摂取不足や腎機能低下が重なれば低血糖は起こりうるため、選択肢の中で相対的に最もリスクが高いものを選ぶ問題として扱ってください。

この3問も、実際に収録している問題です

NCLEX BANKには糖尿病関連だけで62問、全体で2,700問超を収録しています。この記事の解説は、実際の問題についている日本語解説をそのまま短くしたものです。英語の医療用語には、すべて日本語訳がついています。月額 $99、いつでも解約できます。

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