手続き ・ オーストラリア

オーストラリアで看護師になるための筆記試験は、NCLEX-RNそのもの

オーストラリアで正看護師(RN)として登録しようとすると、多くの日本の看護師は途中でNCLEX-RNを受けることになります。アメリカの看護師免許と同じ試験です。この記事では、オーストラリアの登録の流れの中でNCLEXがどこに入るのか、Ahpra経由で受けるときの手続き日本の会場で受けたときにいくらかかるか、英語の最低点、そしてアメリカで働いた人の近道を、一次情報で確認した内容だけで整理します。

この記事の読み方 NCLEXの手続き・費用・会場は2026年9月13日にNCSBN(NCLEXの実施団体)の資料で、オーストラリア側の段階・費用・英語・近道は2026年9月14日にNMBA(看護助産師委員会)とAhpra(医療従事者の登録機関)の公式サイトで確認したものです。NCLEXの料金は米ドル、オーストラリア側の料金は豪ドルなので、通貨が違うものは足し算していません。出典は記事の最後にまとめています。

1. オーストラリアの筆記試験は、NCLEX-RNそのものです

海外で看護の資格を取った人の多くは、オーストラリアで登録する前に成果にもとづく審査(OBA:Outcomes-Based Assessmentを受けます。中身は筆記(MCQ)と実技(OSCE)の2つで、RNの筆記がNCLEX-RNです。NMBAの公式ページには「RNのMCQはNCSBNと連携し、Pearson VUEがNCLEX-RNを使って実施する」と書かれています。

アメリカ向けと別の「オーストラリア版」があるわけではありません。問題数(85〜150問)、NGNのケーススタディ、採点の仕組みは同じです。試験の中身は第1回、出題の配分は出題範囲の記事がそのまま使えます。

助産師として登録する場合は別の試験です NMBAの試験ページでは、RN・EN(enrolled nurse)・助産師で筆記試験が別々になっています。NCLEX-RNを受けるのはRNとして登録する場合です。助産師の筆記の料金は、その試験の提供元が決めるとNMBAの料金表にあります。

2. 登録までの順番と、NCLEXの位置

オーストラリア側の手続きは、NCLEXより前から始まります。最初にやるのはSelf-check(オンラインの自己申告)で、学位記どおりに資格を入力するとStream A・B・Cのどれかに振り分けられます。Ahpraがまだ審査したことのない資格なら、振り分けは後の段階になります。

振り分け登録を申請できるまでにやること
Stream A審査料を払う → Orientation Part 1(オンライン講座)→ 登録申請。NCLEXもOSCEもない
Stream B
OBA
審査料を払う → Orientation Part 1 → Portfolio(資格と本人確認の書類を出す)→ MCQ(RNはNCLEX-RN)OSCE → 登録申請。この順番どおりに進む
Stream Cこのままでは進めない。看護の学士(AQFレベル7相当)などで資格を上げ直すことが唯一の道
資格の審査が必要な人審査料を払う → Orientation Part 1 → Portfolio。PortfolioでAhpraが資格を審査し、A・B・Cのどれで進むかを伝える
日本の資格がどのStreamになるかは、ここでは書きません NMBAは国ごとの一覧を出しておらず、Self-checkに自分の学位記どおり入力して初めて分かる仕組みだからです。Self-checkは本人しか行えず、代理人や業者が代わりに行うことはできません。また、Self-checkが見るのは資格だけで、段階をすべて終えても登録が認められるとは限らないとNMBAは明記しています。

ここから先は、NCLEXを受けることになるStream Bの人に向けて書きます。

3. Ahpra経由でNCLEXを受ける8つの手順

NCSBNがオーストラリアで登録する人向けに出している資料(2025年12月更新)の8つの手順に、NMBAのFAQの内容を重ねるとこうなります。アメリカの州に申請する場合と違うのは、受験資格を出すのが州の看護局ではなくAhpraだという点です。

手順やること注意
1Portfolioが終わると、ダッシュボードにPearson VUEへのリンクが出る配慮措置の申請はこの段階で
2Pearsonに受験登録して受験料を払うオンラインか電話。登録は提出から365日有効
3登録の受付メールが届く
4Ahpraが受験資格を登録するAhpraのIQNM試験チームが4週間以内に確認。受験登録と支払いから365日以内に済んでいる必要がある
5ATT(受験許可)のメールが届く受け取ってから90日以内に予約して受験。延長は、本人にはどうにもできない予定外の事情がある場合に限り相談できる
6会場と日時を予約する国際会場の追加料がかかる
7身分証を持って受験する国際会場ではパスポートが必須
8結果を受け取る受験日から6週間以内にメールで
予約の電話は香港の番号、変更の期限は金曜 オーストラリア向け資料に載っている受付は +852 3077 4923(月〜金 9:00〜18:00・香港時間)です。日本との時差は1時間(香港が1時間遅い)。

予約の変更は、火〜金の試験なら24時間前まで、土・日・月の試験なら前の金曜まで。資料には「月曜14時の予約なら、金曜14時までに」という例が書かれています。NCLEXの料金は理由を問わず返金されません。

4. いくらかかるか

NCLEXの日本の会場は大阪(大阪第一生命ビル12F)と新宿(PMO西新宿8F)の2か所です(2026年4月版の公式リスト)。

NCLEX(米ドル)金額備考
受験登録料$200オーストラリアで登録する場合も米ドル。2027年2月1日から$350
国際受験の追加料$150国際会場で受ける場合。加えて現地のVAT
オーストラリアの会場で受けても、$150はかかります 意外なところですが、NCSBNの定義では、オーストラリアで登録する人にとっての「国内会場」は米国とその属領だけです。つまりシドニーやメルボルンの会場も国際会場で、日本で受けるのと同じく追加料がかかります。受験料の面では、日本で受けるのが不利になることはありません。

オーストラリア側の費用は、NMBAの料金表(2025年9月18日から適用)でこうなっています。

オーストラリア側(豪ドル)金額備考
IQNM審査料
審査とOrientation
AUD 410Stream A・Bの人と、資格の審査が必要な人。返金なし
OSCEAUD 4,000Stream Bの人。オーストラリアで対面のみ
登録の申請料(一般登録)AUD 332返金なし
登録料(一般登録)AUD 193初回の登録では、申請料と登録料の両方がかかる

ここに英語試験の受験料と、OSCEのためにオーストラリアへ行く渡航費と滞在費が加わります。

OSCEには期限が2つあります ① OSCEの段階になってから120日以内に、AUD 4,000を払う。払わないとケースが閉じられます(準備ができたら再開を依頼できます)。
② 払ってから180日以内に、日程を決める。決めないとケースが閉じられ、OSCE料は返金されます。

海外に住んでいる人は、オーストラリアのビザの写しを出してから日程の案内が届きます。Ahpraはビザの相談には乗りませんが、ビザ申請に添えられる書面は出してくれます。結果は受験日から8週間以内。合格は5年間有効ですが、合格から2年を過ぎて登録を申請すると、実務の直近性を示す追加の書類が要ります

5. 英語の条件

英語試験で示す場合、認められているのはIELTS Academic・OET・PTE Academic・TOEFL iBT・Cambridge(C1 Advanced/C2 Proficiency)の5つです。2026年4月23日以降に受けた試験の最低点はこうなっています(Ahpra)。

試験総合LRWS
IELTS Academic7776.57
OETなし350360350360
PTE Academic6358596076
TOEFL iBT9122222324
Cambridge C1 Advanced178175179180194
Cambridge C2 Proficiency185185185176185
2026年4月の改定で変わったこと・変わらなかったこと IELTSの最低点は改定前と同じです(総合7、Writingだけ6.5)。OETは、それまでの等級(Listening・Reading・SpeakingがB、WritingがC+)から技能ごとの点数に変わりました。

2026年4月22日以前に受けた試験は改定前の基準で見られます。1回目が改定前、2回目が改定後なら、それぞれの回に、その時点の基準が当てはまります。
点数以外の決まり 会場で受けるものだけが有効で、自宅受験の版は認められません(OETのコンピューター版は会場受験なら可)。TOEFL iBTは、申し込むときに「Taking TOEFL for Australia」を選ぶ必要があります。

2回分の合算は、12か月以内・同じ試験どうしなら可です。ただし各回に下限があり、たとえばIELTSは毎回総合7以上・どの技能も6.5未満は不可、OETはどの回もL320・R340・W350・S350を下回らないことが条件です。IELTSのOne Skill Retake(1技能だけの受け直し)は認められています。

結果の有効期間は、登録を申請する日からさかのぼって2年です(英語圏での継続した就労などの例外があります)。

6. アメリカで働いた経験があるなら、別の道があります

2025年4月23日から、比較可能な国・地域でRNとして働いた人向けの登録基準が始まりました。対象になれば、NMBAの試験(MCQもOSCEも)も、資格の上げ直しも要りません。Ahpraによると、試験を含めて9〜12か月かかっていた手続きが、1〜6か月で済む場合があります

NMBAが認める「比較可能な国・地域」 英国・アイルランド・米国・カナダ(ブリティッシュコロンビア州・オンタリオ州)・シンガポール・スペイン。日本は含まれていません。
経路条件
Pathway 1看護の資格を上の国・地域で取り、2017年1月1日以降に1,800時間以上RNとして働いた
Pathway 22017年1月1日以降に、上の国・地域以外で看護の資格を修了し、上の国・地域の外国人向けの試験を経てRNとして登録され、そこで1,800時間以上働いた

日本の看護師に関係するのはPathway 2です。日本で看護教育を終えたあと、NCLEX-RNに合格してアメリカの州でRNとして登録し、アメリカで1,800時間以上働いた人は、この経路の対象になり得ます。1,800時間は、オーストラリアのフルタイムでおよそ1年分(週38時間×48週)です。

Pathway 2の注意点 ① 看護教育の修了が2017年1月1日より前だと対象外です。ほかの条件をすべて満たしていても使えません。
② 対象かどうかは、Ahpraが書類をすべて審査して初めて確定します。Self-checkの振り分けで示されるのは入口だけです。
③ 英語など、登録の基本の基準は別に満たす必要があります。
④ 精神看護だけの資格の人は対象外です。

7. この記事から持ち帰るもの

  1. オーストラリアでRN登録するときの筆記はNCLEX-RN(Stream Bの場合)— アメリカと同じ試験なので、対策も同じでいい
  2. 順番は Self-check → Orientation Part 1 → Portfolio → NCLEX-RN → OSCE → 登録申請 — NCLEXはPortfolioが終わってから
  3. NCLEXは日本で受けてもオーストラリアで受けても$200+$150+VAT(2027年2月からは$350+$150)。オーストラリア側で一番大きいのはOSCEのAUD 4,000で、OSCEは現地でしか受けられない
  4. 英語はIELTSなら総合7・Writing 6.5以上(2026年4月以降も同じ)。OETは点数での表記に変わった
  5. アメリカでRNとして1,800時間働けば、MCQもOSCEもない道がある(Pathway 2・看護教育の修了が2017年以降の人)

よくある質問

オーストラリアの看護師登録にNCLEXは必要ですか?

Self-checkでStream Bに振り分けられた人がRNとして登録する場合、成果にもとづく審査(OBA)の筆記がNCLEX-RNで、合格するとOSCE(実技試験)に進みます。Stream Aの人はNCLEXもOSCEも不要で、オンラインのOrientation Part 1を終えれば登録を申請できます。Stream Cの人は、先に看護の学士などで資格を上げ直す必要があります。また、英国・アイルランド・米国・カナダ(BC州・オンタリオ州)・シンガポール・スペインで2017年以降にRNとして1,800時間以上働いた人は、条件を満たせばNMBAの試験なしで登録できる経路があります。

オーストラリアで登録するためのNCLEXは日本で受けられますか?

受けられます。大阪と新宿の2か所の国際会場で受験でき、国際会場ではパスポートが必須です。受験登録料$200に国際受験の追加料$150と現地のVATがかかります。オーストラリアで登録する人にとっての国内会場は米国とその属領だけなので、オーストラリア国内の会場で受けても同じく$150がかかります。2027年2月1日から受験登録料は$350になります。一方、そのあとのOSCEはオーストラリアで対面でしか受けられず、受験料はAUD 4,000です。

オーストラリアの看護師登録に必要な英語の点数は?

2026年4月23日以降に受けた試験の場合、IELTS Academicは総合7かつListening・Reading・Speakingが7、Writingが6.5以上です。OETはListening 350・Reading 360・Writing 350・Speaking 360以上です。ほかにPTE Academic・TOEFL iBT・Cambridge English(C1 Advanced/C2 Proficiency)も認められています。会場で受けた試験だけが有効で、結果は登録を申請する日からさかのぼって2年以内のものが原則です。

出典(2026年9月13日・14日確認) Ahpra経由の8つの手順・365日・パスポート・予約変更の期限・電話番号:The Pathway to Practice — For internationally qualified nurses seeking registration as a registered nurse in Australia(NCSBN・2025年12月更新/nclex.com/files/2026_nclex_info_flyer_aphra.pdf・9月13日確認)
受験料・国際受験の追加料・返金なし・2027年の値上げ:NCLEX — Fees & Payment(nclex.com/fees-payment.page・9月13日確認)
国内会場と国際会場の区分:NCLEX — Testing Locations(nclex.com/testing-locations.page・9月13日確認)
日本国内の会場:International Pearson Professional Center Sites and Addresses(2026年4月版・nclex.com・9月13日確認)
Self-check・Stream A/B/C・段階の順番:NMBA — Completing the Self-check/Steps after Self-check (assessment stages)(nursingmidwiferyboard.gov.au・9月14日確認)
RNの筆記がNCLEX-RNであること・4週間・365日・ATTの90日と延長・結果:NMBA — Information for registered nurses(同・9月14日確認)
OSCEの対象・期限・ビザ・結果・有効期間:NMBA — Objective Structured Clinical Exam (OSCE)(同・9月14日確認)
審査料・OSCE・登録の費用:NMBA — Fees for nurses and midwives(2025年9月18日からの料金表・同・9月14日確認)
英語の最低点と決まり:Ahpra — Accepted English language tests(ahpra.gov.au・9月14日確認)
比較可能な国・地域の経路:NMBA — Fact sheet: Registration standard: General registration for internationally qualified registered nurses(2025年9月更新)、Ahpra — Streamlined pathway to registration for internationally qualified registered nurses(2025年1月27日)(9月14日確認)

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