オーストラリアで看護師になるための筆記試験は、NCLEX-RNそのもの
オーストラリアで正看護師(RN)として登録しようとすると、多くの日本の看護師は途中でNCLEX-RNを受けることになります。アメリカの看護師免許と同じ試験です。この記事では、オーストラリアの登録の流れの中でNCLEXがどこに入るのか、Ahpra経由で受けるときの手続き、日本の会場で受けたときにいくらかかるか、英語の最低点、そしてアメリカで働いた人の近道を、一次情報で確認した内容だけで整理します。
1. オーストラリアの筆記試験は、NCLEX-RNそのものです
海外で看護の資格を取った人の多くは、オーストラリアで登録する前に成果にもとづく審査(OBA:Outcomes-Based Assessment)を受けます。中身は筆記(MCQ)と実技(OSCE)の2つで、RNの筆記がNCLEX-RNです。NMBAの公式ページには「RNのMCQはNCSBNと連携し、Pearson VUEがNCLEX-RNを使って実施する」と書かれています。
アメリカ向けと別の「オーストラリア版」があるわけではありません。問題数(85〜150問)、NGNのケーススタディ、採点の仕組みは同じです。試験の中身は第1回、出題の配分は出題範囲の記事がそのまま使えます。
2. 登録までの順番と、NCLEXの位置
オーストラリア側の手続きは、NCLEXより前から始まります。最初にやるのはSelf-check(オンラインの自己申告)で、学位記どおりに資格を入力するとStream A・B・Cのどれかに振り分けられます。Ahpraがまだ審査したことのない資格なら、振り分けは後の段階になります。
| 振り分け | 登録を申請できるまでにやること |
|---|---|
| Stream A | 審査料を払う → Orientation Part 1(オンライン講座)→ 登録申請。NCLEXもOSCEもない |
| Stream B OBA | 審査料を払う → Orientation Part 1 → Portfolio(資格と本人確認の書類を出す)→ MCQ(RNはNCLEX-RN) → OSCE → 登録申請。この順番どおりに進む |
| Stream C | このままでは進めない。看護の学士(AQFレベル7相当)などで資格を上げ直すことが唯一の道 |
| 資格の審査が必要な人 | 審査料を払う → Orientation Part 1 → Portfolio。PortfolioでAhpraが資格を審査し、A・B・Cのどれで進むかを伝える |
ここから先は、NCLEXを受けることになるStream Bの人に向けて書きます。
3. Ahpra経由でNCLEXを受ける8つの手順
NCSBNがオーストラリアで登録する人向けに出している資料(2025年12月更新)の8つの手順に、NMBAのFAQの内容を重ねるとこうなります。アメリカの州に申請する場合と違うのは、受験資格を出すのが州の看護局ではなくAhpraだという点です。
| 手順 | やること | 注意 |
|---|---|---|
| 1 | Portfolioが終わると、ダッシュボードにPearson VUEへのリンクが出る | 配慮措置の申請はこの段階で |
| 2 | Pearsonに受験登録して受験料を払う | オンラインか電話。登録は提出から365日有効 |
| 3 | 登録の受付メールが届く | |
| 4 | Ahpraが受験資格を登録する | AhpraのIQNM試験チームが4週間以内に確認。受験登録と支払いから365日以内に済んでいる必要がある |
| 5 | ATT(受験許可)のメールが届く | 受け取ってから90日以内に予約して受験。延長は、本人にはどうにもできない予定外の事情がある場合に限り相談できる |
| 6 | 会場と日時を予約する | 国際会場の追加料がかかる |
| 7 | 身分証を持って受験する | 国際会場ではパスポートが必須 |
| 8 | 結果を受け取る | 受験日から6週間以内にメールで |
予約の変更は、火〜金の試験なら24時間前まで、土・日・月の試験なら前の金曜まで。資料には「月曜14時の予約なら、金曜14時までに」という例が書かれています。NCLEXの料金は理由を問わず返金されません。
4. いくらかかるか
NCLEXの日本の会場は大阪(大阪第一生命ビル12F)と新宿(PMO西新宿8F)の2か所です(2026年4月版の公式リスト)。
| NCLEX(米ドル) | 金額 | 備考 |
|---|---|---|
| 受験登録料 | $200 | オーストラリアで登録する場合も米ドル。2027年2月1日から$350 |
| 国際受験の追加料 | $150 | 国際会場で受ける場合。加えて現地のVAT |
オーストラリア側の費用は、NMBAの料金表(2025年9月18日から適用)でこうなっています。
| オーストラリア側(豪ドル) | 金額 | 備考 |
|---|---|---|
| IQNM審査料 審査とOrientation | AUD 410 | Stream A・Bの人と、資格の審査が必要な人。返金なし |
| OSCE | AUD 4,000 | Stream Bの人。オーストラリアで対面のみ |
| 登録の申請料(一般登録) | AUD 332 | 返金なし |
| 登録料(一般登録) | AUD 193 | 初回の登録では、申請料と登録料の両方がかかる |
ここに英語試験の受験料と、OSCEのためにオーストラリアへ行く渡航費と滞在費が加わります。
② 払ってから180日以内に、日程を決める。決めないとケースが閉じられ、OSCE料は返金されます。
海外に住んでいる人は、オーストラリアのビザの写しを出してから日程の案内が届きます。Ahpraはビザの相談には乗りませんが、ビザ申請に添えられる書面は出してくれます。結果は受験日から8週間以内。合格は5年間有効ですが、合格から2年を過ぎて登録を申請すると、実務の直近性を示す追加の書類が要ります。
5. 英語の条件
英語試験で示す場合、認められているのはIELTS Academic・OET・PTE Academic・TOEFL iBT・Cambridge(C1 Advanced/C2 Proficiency)の5つです。2026年4月23日以降に受けた試験の最低点はこうなっています(Ahpra)。
| 試験 | 総合 | L | R | W | S |
|---|---|---|---|---|---|
| IELTS Academic | 7 | 7 | 7 | 6.5 | 7 |
| OET | なし | 350 | 360 | 350 | 360 |
| PTE Academic | 63 | 58 | 59 | 60 | 76 |
| TOEFL iBT | 91 | 22 | 22 | 23 | 24 |
| Cambridge C1 Advanced | 178 | 175 | 179 | 180 | 194 |
| Cambridge C2 Proficiency | 185 | 185 | 185 | 176 | 185 |
2026年4月22日以前に受けた試験は改定前の基準で見られます。1回目が改定前、2回目が改定後なら、それぞれの回に、その時点の基準が当てはまります。
2回分の合算は、12か月以内・同じ試験どうしなら可です。ただし各回に下限があり、たとえばIELTSは毎回総合7以上・どの技能も6.5未満は不可、OETはどの回もL320・R340・W350・S350を下回らないことが条件です。IELTSのOne Skill Retake(1技能だけの受け直し)は認められています。
結果の有効期間は、登録を申請する日からさかのぼって2年です(英語圏での継続した就労などの例外があります)。
6. アメリカで働いた経験があるなら、別の道があります
2025年4月23日から、比較可能な国・地域でRNとして働いた人向けの登録基準が始まりました。対象になれば、NMBAの試験(MCQもOSCEも)も、資格の上げ直しも要りません。Ahpraによると、試験を含めて9〜12か月かかっていた手続きが、1〜6か月で済む場合があります。
| 経路 | 条件 |
|---|---|
| Pathway 1 | 看護の資格を上の国・地域で取り、2017年1月1日以降に1,800時間以上RNとして働いた |
| Pathway 2 | 2017年1月1日以降に、上の国・地域以外で看護の資格を修了し、上の国・地域の外国人向けの試験を経てRNとして登録され、そこで1,800時間以上働いた |
日本の看護師に関係するのはPathway 2です。日本で看護教育を終えたあと、NCLEX-RNに合格してアメリカの州でRNとして登録し、アメリカで1,800時間以上働いた人は、この経路の対象になり得ます。1,800時間は、オーストラリアのフルタイムでおよそ1年分(週38時間×48週)です。
② 対象かどうかは、Ahpraが書類をすべて審査して初めて確定します。Self-checkの振り分けで示されるのは入口だけです。
③ 英語など、登録の基本の基準は別に満たす必要があります。
④ 精神看護だけの資格の人は対象外です。
7. この記事から持ち帰るもの
- オーストラリアでRN登録するときの筆記はNCLEX-RN(Stream Bの場合)— アメリカと同じ試験なので、対策も同じでいい
- 順番は Self-check → Orientation Part 1 → Portfolio → NCLEX-RN → OSCE → 登録申請 — NCLEXはPortfolioが終わってから
- NCLEXは日本で受けてもオーストラリアで受けても$200+$150+VAT(2027年2月からは$350+$150)。オーストラリア側で一番大きいのはOSCEのAUD 4,000で、OSCEは現地でしか受けられない
- 英語はIELTSなら総合7・Writing 6.5以上(2026年4月以降も同じ)。OETは点数での表記に変わった
- アメリカでRNとして1,800時間働けば、MCQもOSCEもない道がある(Pathway 2・看護教育の修了が2017年以降の人)
よくある質問
オーストラリアの看護師登録にNCLEXは必要ですか?
Self-checkでStream Bに振り分けられた人がRNとして登録する場合、成果にもとづく審査(OBA)の筆記がNCLEX-RNで、合格するとOSCE(実技試験)に進みます。Stream Aの人はNCLEXもOSCEも不要で、オンラインのOrientation Part 1を終えれば登録を申請できます。Stream Cの人は、先に看護の学士などで資格を上げ直す必要があります。また、英国・アイルランド・米国・カナダ(BC州・オンタリオ州)・シンガポール・スペインで2017年以降にRNとして1,800時間以上働いた人は、条件を満たせばNMBAの試験なしで登録できる経路があります。
オーストラリアで登録するためのNCLEXは日本で受けられますか?
受けられます。大阪と新宿の2か所の国際会場で受験でき、国際会場ではパスポートが必須です。受験登録料$200に国際受験の追加料$150と現地のVATがかかります。オーストラリアで登録する人にとっての国内会場は米国とその属領だけなので、オーストラリア国内の会場で受けても同じく$150がかかります。2027年2月1日から受験登録料は$350になります。一方、そのあとのOSCEはオーストラリアで対面でしか受けられず、受験料はAUD 4,000です。
オーストラリアの看護師登録に必要な英語の点数は?
2026年4月23日以降に受けた試験の場合、IELTS Academicは総合7かつListening・Reading・Speakingが7、Writingが6.5以上です。OETはListening 350・Reading 360・Writing 350・Speaking 360以上です。ほかにPTE Academic・TOEFL iBT・Cambridge English(C1 Advanced/C2 Proficiency)も認められています。会場で受けた試験だけが有効で、結果は登録を申請する日からさかのぼって2年以内のものが原則です。
受験料・国際受験の追加料・返金なし・2027年の値上げ:NCLEX — Fees & Payment(nclex.com/fees-payment.page・9月13日確認)
国内会場と国際会場の区分:NCLEX — Testing Locations(nclex.com/testing-locations.page・9月13日確認)
日本国内の会場:International Pearson Professional Center Sites and Addresses(2026年4月版・nclex.com・9月13日確認)
Self-check・Stream A/B/C・段階の順番:NMBA — Completing the Self-check/Steps after Self-check (assessment stages)(nursingmidwiferyboard.gov.au・9月14日確認)
RNの筆記がNCLEX-RNであること・4週間・365日・ATTの90日と延長・結果:NMBA — Information for registered nurses(同・9月14日確認)
OSCEの対象・期限・ビザ・結果・有効期間:NMBA — Objective Structured Clinical Exam (OSCE)(同・9月14日確認)
審査料・OSCE・登録の費用:NMBA — Fees for nurses and midwives(2025年9月18日からの料金表・同・9月14日確認)
英語の最低点と決まり:Ahpra — Accepted English language tests(ahpra.gov.au・9月14日確認)
比較可能な国・地域の経路:NMBA — Fact sheet: Registration standard: General registration for internationally qualified registered nurses(2025年9月更新)、Ahpra — Streamlined pathway to registration for internationally qualified registered nurses(2025年1月27日)(9月14日確認)
筆記がNCLEXなら、対策もアメリカと同じです
NCLEX BANKは、2,700問超のNCLEX形式問題に日英混合の解説をつけた問題バンクです。医療用語は英語のまま残して訳を添えています。オーストラリアで登録する人が受けるのもアメリカと同じNCLEX-RNなので、そのまま対策に使えます。問題文と選択肢は英語のままなので、解くこと自体が英語で読む練習にもなります。月額 $99、いつでも解約できます。
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