手続き ・ 合格率と難易度

NCLEXの難易度は「合格率」では測れない

「NCLEXの合格率は何%ですか」という質問には、正しい答えが4つあります。2025年の実データでいうと、86.7%も、69.1%も、47.3%も、30.5%も全部本当です。どれを見るかで56ポイント動きます。この記事では、NCSBNが2026年6月に公表した2025年の統計から、日本の看護学校を出た人が見るべき数字はどれかを切り分けます。数字はすべて一次資料の表から直接引いています。

この記事の使い方 受けるかどうかを決めるために読む記事です。難易度を「合格率」という一つの数字で測ろうとすると、まず間違えます。数字はすべてNCSBN『2025 NCLEX Examination Statistics』(Research Brief Volume 96・2026年6月)および前年版から、2026年9月8日に確認したものです。出典は記事の最後にまとめています。

1. 「NCLEXの合格率」という数字は、4つあります

NCSBNは合格率を1つの数字では出していません。「アメリカの看護学校を出たか、国外か」と「1回目か、2回目以降か」の2軸で、4つに分けて公表しています。2025年(米国免許向けのNCLEX-RN)はこうなっています。

区分2024年2025年受験者数(2025)
初回・米国教育91.2%86.7%192,916人
再受験・米国教育50.9%52.7%42,513人
初回・国外教育53.8%47.3%52,827人
再受験・国外教育36.4%30.5%40,187人
全受験者73.3%69.1%328,443人
日本の看護学校を出た人が見るべきなのは「初回・国外教育」です 2025年で 47.3%。ネットでよく見る「NCLEXの合格率は約70%」は、いちばん下の全受験者の行で、その7割は米国の看護学校を出た人たちです。母集団が違います。

同じ試験、同じ合格基準で、初回・米国教育の86.7%と、再受験・国外教育の30.5%が並んでいる。この56ポイントの幅が、「NCLEXは難しいですか」に一つの数字で答えられない理由です。

2. 2025年、数字は全部下がりました。合格基準は動いていません

上の表をもう一度見てください。2024年から2025年で、4区分のうち3つが下がっています。上がったのは再受験・米国教育(50.9%→52.7%)だけです。国外教育は初回で6.5ポイント、再受験で5.9ポイント落ちました。

ここで真っ先に疑うのは「合格基準が上がったのでは」という説明です。これは違います。

初回・米国教育の要約統計2024年2025年
合格基準passing standard0.00 logits0.00 logits
平均出題数100問103問
最小問題数(85問)で終わった人65.4%59.1%
最大問題数(150問)まで行った人16.7%20.5%
平均試験時間2時間14分2時間14分

合格基準は2年とも 0.00 logits で、1ミリも動いていません。ものさしは同じです。動いたのは、そのものさしに対する受験者側の位置のほうです。

試験の中で起きていることは、この表から読み取れます。85問で終わった人が減り、150問まで行った人が増えました。NCLEXは問題ごとに難易度を調整するCAT方式なので、早く終わるのは合否がはっきりしている人です。最大問題数まで行くというのは、最後まで境界線の上をうろうろしたということ。その割合が16.7%から20.5%に増えています。

なぜ下がったのかは、書きません 合格率が下がった理由をNCSBNは公表していません。受験者層の変化なのか、準備の質なのか、出題の中身なのか、外からは区別できません。

ここで「NGNになって難しくなった」と書いている記事を見かけますが、NGNの導入は2023年4月で、2024年も2025年も同じ形式です。2024年から2025年の変化の説明にはなりません。分からないことは分からないまま置きます。

3. 日本の受験者は年63人。この数字は揺れます

国別の内訳(初回・国外教育・米国免許向け)を見ると、日本はこうなっています。

教育を受けた国2024年
受験者/合格率
2025年
受験者/合格率
日本87人 / 60.9%63人 / 66.7%
韓国2,634人 / 64.8%2,485人 / 58.4%
フィリピン28,112人 / 51.7%22,793人 / 45.8%
インド5,807人 / 40.5%4,866人 / 33.3%
ナイジェリア2,402人 / 61.3%1,983人 / 54.4%
国外教育の全体58,995人 / 53.8%52,827人 / 47.3%

日本の66.7%は、国外教育の平均47.3%より19.4ポイント高い数字です。ただしこれを「日本人は受かりやすい」と読んではいけません。

母数が63人しかありません 四半期ごとに直すと、2025年は14人・19人・14人・16人です。1人の合否で数ポイント動きます。

実際、2024年の四半期を並べるとこうなります。Q1は15人中11人で73.3%、Q2は22人中11人で50.0%。同じ年の、同じ試験で、23ポイント差です。これは日本人の実力が3か月で23ポイント落ちたのではなく、単に人数が少なすぎるだけです。

年単位の66.7%も同じ性質を持っています。傾向としては読めますが、自分の合否の確率としては読めません。

対照的に、韓国は2,485人という母数があって、そこで6.4ポイント下がっています。こちらは揺らぎでは説明しにくい下がり方です。フィリピン(5.9ポイント減)、インド(7.2ポイント減)も同じ方向を向いていて、国外教育全体が下がったという事実のほうが、日本の数字が上がったことより確かです。

4. いちばん重い数字は、再受験の30.5%です

ここまでの表で、いちばん見落とされている行があります。再受験・国外教育の30.5%です。

落ちた人が、次に受かる確率 初回 47.3% → 再受験 30.5%。1回目に落ちた人が2回目に受かる割合は、1回目より17ポイント低い

これは国外教育に限った話ではありません。米国教育でも 86.7% → 52.7% で、34ポイント落ちます。2024年も同じ形(91.2% → 50.9%)でした。

NCLEXは、2回目のほうが通りにくい試験です。

直感に反するかもしれません。一度受けて出題の感じが分かり、落ちた分野もCandidate Performance Report(成績レポート)で知らされるのだから、2回目のほうが有利に思えます。数字はそうなっていません。

なぜかについて、NCSBNは説明を出していません。ここでも推測は書きません。ただし、準備の計画を立てる側にとっての意味ははっきりしています。

1回目のコストが、いちばん安い 受験料。2027年2月1日から $200 → $350 に上がります。日本の会場なら国際受験の追加料 $150 も毎回かかります。いまなら1回 $350 ですが、値上げ後に2回受けると $1,000 前後になります。

時間。Authorization to Test(ATT・受験許可)は平均90日で切れ、不合格の場合は再申請が必要です。州によっては再受験まで待機期間があります。

手続きと費用の詳細は受験手続きの記事にまとめています。

まとめ

「NCLEXは難しいですか」に対して、2025年の実データから言えることは3つです。

  1. あなたが見るべき数字は 47.3% です — 日本の看護学校を出た人は「初回・国外教育」の行に入ります。よく見る「約70%」は米国の学生が7割を占める全体の数字で、母集団が違います
  2. 2025年は全区分が下がり、合格基準は動いていません — ものさし(0.00 logits)は2年とも同じ。最大問題数まで行く人が16.7%から20.5%に増えました。理由は公表されていません
  3. いちばん重いのは再受験の30.5%です — 落ちた人の7割は次も落ちています。米国教育でも同じ形。NCLEXは1回目に賭ける試験です

日本の66.7%という数字は、悪くありません。ただし63人分の数字なので、自分の確率として使えるものではありません。使えるのは、再受験が30.5%だという事実のほうです。そこから逆算すると、やることは「1回目までにどれだけ問題を解いたか」に集約されます。

試験そのものの仕組み(CAT・NGN・採点方式)は第1回、勉強の順番は第2回にまとめています。

よくある質問

NCLEXの合格率は何%ですか?

2025年の実績で、全受験者では69.1%です。ただしこれは米国の看護学校を出た人を含む数字で、そのうち初回・米国教育が192,916人と大半を占めます。日本など米国外で看護教育を受けた人の初回合格率は47.3%(52,827人中24,999人)で、20ポイント以上低くなります。さらに再受験の国外教育は30.5%です。「NCLEXの合格率」は区分によって30.5%から86.7%まで変わるため、一つの数字では答えられません。出典はNCSBN『2025 NCLEX Examination Statistics』のTable 1です。

日本の看護師のNCLEX合格率は?

2025年は63人が初回受験して42人が合格、66.7%でした(2024年は87人中53人で60.9%)。国外教育全体の47.3%より高い数字ですが、母数が63人しかないため年ごとの振れが大きく、四半期では14〜19人しか受験していません。実際2024年は第1四半期73.3%、第2四半期50.0%と同じ年の中で23ポイント動いています。傾向としては読めますが、個人の合格確率の目安としては使えない数字です。

NCLEXは1回落ちても受け直せますか?

受け直せます。ただし2025年の再受験合格率は、国外教育で30.5%、米国教育でも52.7%です。初回(それぞれ47.3%、86.7%)より大きく下がります。費用面でも、受験登録料は2027年2月1日から$200から$350に上がり、日本の会場で受ける場合は国際受験の追加料$150が毎回かかります。ATT(受験許可)も平均90日で失効するため再申請が必要で、州によっては再受験までの待機期間があります。制度上は何度でも受けられますが、数字の上では1回目がもっとも通りやすい機会です。

出典(2026年9月8日確認) 区分別の合格率・受験者数、合格基準、平均出題数:2025 NCLEX Examination Statistics(NCSBN Research Brief Volume 96・2026年6月・Table 1およびTable 3)
国別の受験者数と合格率:同上・Table 9
2024年の対応する数値:2024 NCLEX Examination Statistics(NCSBN Research Brief Volume 94・2025年7月・Table 1、Table 3、Table 9)
受験料と2027年の値上げ:NCLEX — Fees & Payment(nclex.com/fees-payment.page)
ATTの有効期間:NCLEX — Register(nclex.com/register.page)

この記事の合格率はすべて米国免許向けのNCLEX-RNの数値です。カナダ免許向けは別集計で、国外教育の初回合格率は39.6%(2025年)と、さらに低くなります。

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